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天敵

目覚ましい目障り
 つかみどころのない感情なんてものは捨ててしまえばいいんだ。誰もが僕が不幸にする。僕は誰かで不幸になる。僕はいなくなれば僕が守りたいものは守られる。全ての人々の幸福を、そして僕の幸福を。間違いに間違いを重ねて繰り返してそうやって生きていくしかないのならば、僕の言葉に意味がないのならば、僕は言葉になりたい、何もかもを棄てて言葉になりたい。欲しがるだけの子供でいるために、誰からも愛されないことを受け容れるために、僕は愚かな言葉になって死んでしまいたい。それが僕にとっての幸せならば、幸せなんだ。それが幸せでないのなら、世界中が敵だ。世界中を敵に回して、世界中に嫌われて、黙殺されて行くのだ。どちらにしろ消えるしかないのなら、大人しく捕まってしまおう。嘘だ。大人しくなんていられないに決まっている。誰もが僕の敵になる。

 生きる不幸を歌おう、高らかに。それが与えられた使命ならば従おう、お望みならば尻尾も振ってみせる、無様な僕を見るがいい。夢なんてない。夜に夢なんて見ない。眠らない夢をみよう、眠らない妄想で自慰行為に溺れてしまえ、使命感に溢れた胸を切り裂いて、自己防衛の糸口を探り入れよう、震える指が為す儘に、凍える声を殺しながら、流れる歌にも一瞥をくれながら、星空を眺めているザマを見ろ、笑い飛ばしてみたい電柱の陰から。分離する心を以って別れに涙を流したい。いい加減な態度で冷たい嘘吐きになって乾いた声で笑いたい。たぶん楽でいられるのだろう。続きの要らない人生なんだ。通念上の観念で閉ざされた怒りをも呑み込ませて詰まらせて、生きた言葉ばかりを焦がれたいわくつきの情念で満たしていくんだ。それを誰が臨んだって、望んで得たかも知らないで、這いずり回って泥を啜って、ただ綴っていくだけで手も足も透明に澄んでいくような錯覚に陥る悦びに遊ぶ。僕はいつだって僕だけの味方だった。
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